5月1日メーデーは、数少ないマーシャルの祝日でした。
別名「マジュロ・デイ」 「ケーメン」(1歳の誕生日を祝うこと)と呼び、
10月26日の独立記念日よりも盛大に、マーシャル国家の誕生を祝う大切な一日です。
今年で33回目の憲法記念日を迎えた首都マジュロでは、
中心街のDelapに朝から晩まで多くの人が集まりました。
雨が降りしきる中でも決行された午前中のパレード。
参加した友人から「一度は見ておいたほうがいい」と連絡を受け、
真っ青な空が顔を覗かせた午後、ドライブがてら中心街へ行ってみました。
交通規制のため迂回の表示があり、普段は使わない裏道を通って
国会議事堂前に出ると、駐車スペースから溢れる車と人の数に圧倒されました。
何が始まるのかと見物人に話しかけてみると、もうすぐ午後のパレードが始まるとのこと。
午前で終了していたと思っていたので、ラッキーです。
クラクションの音が鳴り響く方角に向かって、一斉に走り始めた人々を追いかけてみます。
ラジオから流れる音楽とともに、次々と登場する山車。
伝統的な衣装で着飾り、ココナッツの葉で編まれたアミモノマット「ジャキ」を手に踊る従業員。
台湾の漁業会社は釣竿デコレーションで観客の目を奪います。
貝殻と棒で作られた海図「スティック・チャート」や伝統カヌーの模型を乗せて走る観光局。
スタッフはパンダナスの葉で作られた帽子をかぶっています。
空き缶の飾りつけでリサイクルのアピールをする産業廃棄物会社。
運転手はクラクションを鳴らしながらリズムを刻み、荷台の上では歌と踊りのパフォーマンスが繰り広げられていました。
いわゆる娯楽施設やデーマパークのないマーシャルですが、
しばしディズニーランドのパレードを眺めているような錯覚を覚えました。
翌日、前に座った同僚のTシャツには…
“May Day 33rd Anniversary”の文字が書かれていました。
前のデザインは”Marshall Islands”…?
ではなく、彼女の苗字でした。
家族仕様ですね。
このTシャツを着て、退社後彼女が向かった先はヤキュウの試合会場でした。
憲法記念日を祝うスポーツイベントとして、ヤキュウはバスケットボールと並ぶメインスポーツです。
(日本語がマーシャル語になったヤキュウですが、実際には日本でいうソフトボールのことを指します)
主に10代が参加するバスケットボールに対し、ヤキュウは参加者の年齢層が幅広く、
観客数も多いのが特徴です。
優勝した環礁チームには、3000ドルの賞金が内務省から送られます。
両親の出身環礁によって、自分の参加するチームは決まりますが、
家族概念が広いマーシャルでは、複数の環礁につながりがあります。
そのため、自分の所属チームが負けてしまっても、対戦した相手の環礁チーム代表として
翌日はバッターに立っている、ということが普通に起こり得ます。
このマーシャルルールによって、ホームランバッターとして有名な同僚は
準決勝まで複数のチーム代表として参戦していました。
(そもそも、勝ち負けを表すマーシャル語はなく、英語のwin→wiin, lose→luujがマーシャル語として現在使われています)
マジュロ中が賑わったメーデーから、早11日が過ぎました。
国会議事堂のデコレーションがいつ片付けられてしまうのか、
OKAWA