このブログでも何度か紹介しているかもしれませんが、ここマーシャル(マジュロ)は未だに新型コロナウィルス感染者ゼロの世界的に見ても稀有な国です。
その大きな要因はなんと言っても厳格な入国管理。
現在マーシャルに入国するには、ハワイ3日+マーシャル国内2週間の隔離施設での隔離が必要で、それも入国できるのは政府の許可を得た人のみです。
以前はハワイ2週間+マーシャル国内3週間の隔離を経なければ入国できませんでしたので、それに比べればだいぶ緩和されましたが、それでも世界的に見てかなり厳しい入国管理だと思われます。
こうした管理のおかげでマジュロ市内(※注)は現在まで感染者ゼロを続けており、
我々のようなマジュロに住む一般人はマスク無しの生活を送れています。
(※注) 厳密にはクワジェリンの隔離施設で発見されているケースがあるので対外的な発生数はゼロではありません。
ただ、その一方で弊害も出つつあるようです。
こちらは今週のMarshall Island Journalの記事。
この記事によると国内最大手の建設会社”PII”では、人手不足により様々な工事に遅れが出ているとの事。このPIIはマーシャル最大手のゼネコンで、国内の大型公共工事はほぼ一手に引き受けている会社です。
元々、来年度開催予定のミクロネシア版オリンピック”マイクロゲームス”の開催に向けてメインスタジアムを建設中だったり、老朽化した体育館の立て直し、空港の修理などたくさんの大型案件があったようなのですが、そこにコロナによる入国管理の影響で外部からの技術者が入ってこれなくなる事態が重なり工事が思うように進まない状況のようです。
マーシャルはとても小さい国で、自国だけで労働力を賄う事が出来ない為、多くの労働力を外国に頼っています。その為、外部からの人材が入ってこれなくなると様々なインフラ整備に影響が出てきます。
例えば、発電所の施設が更新できず、メンテナンスの為の停電が増えたり、銀行のATMが壊れたまま使用できない状態で放置されていたりと、意外と身近なところで影響が出てきます。
この記事によるとPIIは自前でチャーター機を飛ばしてでもフィリピン等から100~200人の技術者を確保したい様子で、それだけ逼迫した状況が想像されます。
その記事の後に出ている財務大臣Brenson Wase氏の記事でも、海外からの支援案件に遅れが出ているという記事があり、入国管理によるコロナフリーの生活と引き換えに経済活動に発生する影響が出てきています。
とはいえ、医療施設の乏しいマーシャルでは、コロナとの付き合い方を簡単に”ノーガードの打ち合い”にするわけにもいかず、安心した生活と経済活動の両立の難しさが浮き彫りになってきているようです。
MURAI