先週はローラについて少し書きましたが、
せっかくなので2週続けてローラつながりの話題を書きたいと思います。
今回は“ローラファーム”というローラにある農場のお話。
農場なんて日本では珍しくもなんともないと思いますが、
農作物の自給率ほぼ0%のマーシャルでは非常に珍しい存在。
そんな珍しい場所に行った目的はというと。
先日MJCCが納入、設置した発電機の様子を見に行く事。
ただ、発電機だけ見に行くのは勿体ないという事で
ローラファームの見学と取材をしてきましたのでそのレポートです。
まず、このローラファーム
Taiwan Technical Mission(TTM)という台湾のNPO組織が運営しています。
1999年から始まったプロジェクトで、
台湾の技術援助によりマーシャルの食料安全保障を強化する事を目的に運営されていて、2017年に台湾の蔡英文総統が来られた際も当時のヒルダ・ハイネ大統領と一緒に見学をされた場所です。
https://www.taiwannews.com.tw/en/news/3286933
実はここマーシャルは環礁という特質上、アルカリ性で水はけの良い土壌の為
あまり農作物の栽培には向いていないとされています。
しかし、ここでは堆肥や肥料を長年改良する事で有機栽培を実現し、
現在ではパパイヤやタピオカ、スウィートコーン等、約26種類の野菜や果物を時期に応じて栽培しています。
農場を始めた当初は普通のマーシャルの土だったというのですから、20年超の努力の成果なのでしょう。
この日は、あまりちゃんと写真が取れなかったのですが、
以前ここで採れた野菜を頂いたときはこんな感じでした。
土地柄、新鮮な野菜を手に入れる事がなかなか困難なマーシャルにおいて
こういった新鮮な野菜はとても貴重です。
またここでは、養豚にも力を入れていて、
自動給餌装置が付いた豚舎には約120匹の豚さんが買われています。
これらは大きくなると離島に運ばれ離島住民の食料となります。
これまでに約1200匹の豚を離島に送ったそうです。
で、MJCCが設置した発電機はこの自動給餌装置のバックアップ電源として使用されます。
停電時(ローラ地区は特に停電が多い)にはこの発電機が無いと給餌が出来なくなってしまい
せっかく育てた豚さんが死んでしまう可能性もあるとの事。
そういう意味では、MJCCもマーシャルの食料安全保障に一役買っているというところでしょうか。
こちらの農場はあくまで台湾政府の関連ファンドが出資するNPOによる実験農場の為、基本的にここで作られた野菜はマーシャルの一般マーケットには流通しません。
住んでる人間としては残念ではありますが、組織の成り立ち上仕方ないのでしょう。
こういう技術援助を生かして、将来的にマーシャル人が自分達で野菜を作って
売るような事が出来るようになれば、資金を援助して後は終わりという単発の国際援助ではなく、本当の意味でその国に役立つ息の長い国際援助になるのではないかと感じました。
MURAI