マーシャル諸島で最も有名な場所、おそらくそれはビキニ環礁です。
MJCCへの問い合わせでも、
「ビキニ環礁でダイビングできますか?」
とよく聞かれます。
ですが、私たちの回答はいつも
「できなくはないです」
という歯切れの悪い形となります。
その辺の事情といいますか、現在のビキニについてご紹介します。
水着の名前にも残るビキニ環礁はマーシャル諸島共和国の環礁の一つで、1946年に第二次大戦後最初に核実験が行われた環礁です。その後1958年まで合計23回の核実験が実施されました。核実験の標的にされた戦艦「長門」や空母「サラトガ」など、多くの艦艇が今でも環礁内に沈んでいます。
核実験による残留放射能は今でも土壌から検出され、1998年の国際原子力機関(IAEA)の報告書では、ビキニ島で得られる食料を摂ると、年間15mSvに達すると推定され、「永住には適さない」と結論付けられています。
ちなみに私がテレビ局の取材で同行した際は、あちこちで線量計で測りましたがほとんど検出されませんでした。
センシティブな問題なので適当なことは言えませんが、短期間の訪問に関しては、残留放射能はあまり問題にならないといえるでしょう。
ではビキニ訪問への障害は何かといいますと、交通手段がほとんどないことが挙げられます。
実はビキニは首都のマジュロからかなり離れたところにあります。マジュロからビキニまで、その距離は約800キロ。東京から西に行けば山口県に、北に行けば北海道に届く距離です。
実際ビキニに行く場合、選べる手段は飛行機か船ですが、飛行機は自家用機をお持ちでない限り、国内線エアマーシャルの飛行機をチャーターするしかありません。これが1回150万円くらいかかります。しかも行きと帰りで2回はチャーターしなければならないので、一般の方々にとっては宝くじにでもあたらない限り、選択肢には入ってきません。
次に船の場合ですが、800キロも移動するのでそんなに小さな船ではいけません。それなりの大きさ、設備が必要です。マジュロにはこれにぴったりの船、といいますかビキニなどの離島への旅行を引き受けてる会社があるのですが、この会社の船をチャーターする場合、1日40~50万円かかります。そして季節にもよりますが移動時間は片道2~3日はみておく必要があります。1週間チャーターすると飛行機と同じく約300万円、しかもビキニに滞在できるのは2日くらいとなると、これもやはり我々一般人にとってはなかなか手を出しづらい選択肢であります。
ただ、フォローするわけではありませんが、この船はもちろん寝泊まりはできますし、料理人も同行してくれます。さらにダイビング器材も全て揃っているのでチャーター費用以上のお金はかかりません。
また客室は10人くらい泊まれますので多人数でシェアして頭数で割ることができれば考慮に入れてもいいかもしれませんね。
ビキニへ行くには他にもクリアしなければいけないことはあるのですが、交通手段だけでも簡単ではないことはわかっていただけるのではないでしょうか。
「できなくはないです」
という歯切れの悪い回答の裏には上のような事情があるのです。
とはいえ、もちろんMJCCではご用命があれば手配いたします。過去に数回実績もありますので、もしビキニで(できれば団体で)ダイビングしたい!もしくはビキニを撮影したい!などのご要望がありましたらお気軽にお問い合わせください。
SATO