核被害者追悼日2022

3月1日、マーシャルは核被害者追悼日の祝日でした。午前中に式典が行われ、午後は音楽とアートのイベント、夜には学生たちによる演劇が上演されました。

式典

マーシャルに最も大きな被害をもたらした水爆実験ブラボーが行われたのが、68年前の3月1日。近海で操業中だった日本の漁船第五福竜丸もこのときに被ばくし、日本では「ビキニ事件」として知られています。
マーシャルで行われた核実験は3月1日のブラボー実験の1回だけではなく、12年間に合計67回行われました。また、被ばくの被害を受けたのは、ビキニだけでなく、広範囲にわたり他の島々にも放射性降下物が降り注ぎました。

ビキニ環礁の人々

核実験の被害を受けたマーシャル人が辿ってきた歴史は、世界にはあまり知られていません。アメリカが実施してきた核実験の文書や記録映像の一部が機密指定を解除されると、マーシャルの人々ですら知らなかった実態が明らかになりました。

 

3月1日に上演された劇は、高校生やマーシャル諸島短大の学生が集まり、ビキニの人々の体験を再現したもの。タイトルは”The Declassified File”。直訳すると「機密指定解除ファイル」。脚本、演出、衣装の調達などもすべてマーシャルの若い世代の力を合わせて、自分たちでひとつの劇を作りあげました。笑いあり涙ありの、見ごたえのある学べる劇でした。

学生による演劇


ビキニ環礁やロンゲラップ環礁など被ばくした島の人々が、いま切実に考えているのが、世界や自国の若い世代への教育と、マーシャルの核実験で自分たちに起こったことの伝承です。ビキニ出身者はマーシャルからアメリカへ移住した人も多く、アメリカで育ちでマーシャルのことを知らないマーシャル人の若い世代も増えてきています。
だからこそ、今回の若い世代による劇の上演は、教育と伝承という目的に向かっていくもので、大変意味のある劇だったと思います。

プロジェクト4.1の場面

コンパクト交渉でアメリカへ行く

 

マーシャルでは現在、アメリカとコンパクト3(自由連合盟約)の改定交渉が進められています。核実験賠償問題は重要な論点のひとつです。

ウクライナ情勢の深刻化で核使用の脅威が出ている中、世界がヒロシマ、ナガサキ、そしてマーシャルの核被害から学ぶ必要が、今こそあるように思います。
世界の人々が平和に暮らせますように…。

 

mika

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